音大受験の対策っていつからするのが正解?現役の音大生や音大卒業生に聞いてみました!

音楽をやっている方なら誰もが耳にしたことがある言葉「音大受験」
もちろん、誰でも受験資格はありますが一筋縄ではいかないのが「音大受験」・・・

大学受験といえば筆記試験や面接が主だと思いますが、音大はそこに「実技」が加わります。
その「実技」の対策はいつから打つべきなのか、また、具体的にどのような対策をしたのかを現役の音大生、音大卒業生に聞いてみました!
厳しい試験を潜り抜けたからこその意見も多数!!最後まで是非ご覧ください!

目次

音大受験をしたいと思う理由は?

音大に入って、将来どんな職業に付けるかなんて、全く想像ができないと思います。
音大受験を考えている人の多くはこんな理由から音大入学を志します。

  • ソリストになりたい
  • オーケストラなどのプロの楽団に入りたい
  • 学校の先生になりたい(音楽教諭)
  • まだ具体的な夢はないが、好きで続けてきた音楽で将来の可能性を広げたい

一見、上記の理由を見ると統一感がない意見に見えますが、1つにまとめるとするならば、「音楽と携わりながら将来仕事をしていきたい」ということになります。現に、質問に答えてくれた音大生の殆どが同意見でした。

ソリストとは

ソリストとは、ソロの曲を演奏する独奏者のことを言います。

打楽器のソロ楽器と言えばマリンバが思い浮かびますね!
ソロ楽器はとくにコレ!などは特に決まっていなく、ピアノはもちろん、オーケストラで活躍するヴァイオリンやオーボエ、トランペットなど様々な楽器にソリストは存在します。

ソリストは主にフリーランスで活動する方が多く、音大を卒業したばかりのフリーランスはジャンルに問わず様々な演奏会に出演したりして、認知してもらうことが何よりも重要です。
名前が売れてきたら、クラシックのソリスト、ジャズ、ポップスなど専門の分野で、楽器ひとつ身ひとつで活躍できるのも夢ではありません。

音楽の仕事において、一番視野を広げられるのがソリスト(フリーランス)だと思っています。

プロの楽団とは

プロの楽団とは主に、オーケストラや吹奏楽など大編成で活動する楽団のことを指します。

プロの楽団に所属すると、演奏をしながらお給料が発生します。
要するに、「演奏することが仕事」になるということです。

プロの楽団に所属するためには、厳しいオーディションがあり、1次オーディションから3、4次オーディションまで潜り抜ける必要があります。
倍率はどこの楽団も10倍以上あり、1流の楽団のオーディション倍率はなんと、約13.4倍とかなり狭き門となっております。

音大ではプロの楽団に所属する講師がレッスンをすることが多い為、将来を見据えてプロ楽団に入るための本格的な対策は、他の大学よりも早めに打つことができます。

音大で教員免許の取得は可能

大好きな音楽を続けながらも、安定した職業に就きたいと考えている人は少なくありません。

多くの音楽大学では教職課程を受けることができ、実習を経験後、教員試験に合格すると教員免許を取得することができます。

試験に受からなくても臨時採用として声がかかれば音楽教諭として働くことができます。

教員免許を持っていると教職員以外にも将来の選択肢が増えるので、現在殆どの音大生が教職課程を受講しています。

夢を見つける場所から掴む場所へ

漠然とした夢はないが、ずっと吹奏楽を続けてきていざ大学受験をしたい!でも音楽以外に何も自信がない・・・そんな方が殆どだと思います。

夢がないまま、なんとなく音大受験をしたという方も大勢います。
特に音大で管打楽器を専攻している人の殆どは吹奏楽部出身者と言われています。

音大に入学した当初は「何のために、何がやりたくて音楽を続けたんだろう・・・」そう思うこともあると思いますが、先輩や先生経由で演奏のお仕事依頼が来たり、仕事先で出会った人の繋がりから吹奏楽指導を頼まれたりなど、意外と多忙です。
お仕事をいただくためには、レスポンスを早くするのは当然で、礼儀正しく謙虚にいること、日々上達の為に努力することが重要です。
仕事現場に練習不足のまま臨むのはもっての外で、本人だけではなく、通っている音大、またレッスンを受けている講師の顔に泥を塗ることになります。
またそれによって仕事が来なくなる可能性もあるので、当然ですが責任をもって仕事を受ける必要があります。

しかし、今は夢がなくとも様々な現場を経験し、その繋がりから仕事を見つけたり、あるいは仕事を掴み取ることもできるかもしれません。

音大受験に必要な要素

音大受験をするためには、ただ音楽が好き、ただ演奏することができる、では通用しません。専攻する楽器の試験のほかに、ソルフェージュ(聴音と歌唱)や音楽概論、インヴェンションやツェルニーなど、ピアノでの副科試験も存在します。これらを習得するためには各分野で先生に付き、レッスンしてもらう必要があります。

音楽概論

音楽概論とは、音楽の基礎知識いわゆる「楽典」を指します。

楽典とは、記譜法、音程、音階、演奏記号、旋法、和音、和声、楽式、対位法、演奏法、音名、拍子の基礎概念と用語を指すものです。

音楽に関する活動の為に必要な最低限の知識がなければ、当然受験には落ちてしまいます。
楽典の試験は筆記試験で行われ、問題の一部に曲を聴いて作曲者と曲名(いずれも正式名称で)を答えるものも存在します。

暗記が多いですが、覚えてしまえば楽器のレベル関係なく点数につながりますので、受験を決めた日から必死に勉強することをお勧めします。

ソルフェージュ

ソルフェージュと聴いてピンとくる方は何人いるでしょうか。
音大受験で実技の次に重要なのはソルフェージュです。

ソルフェージュとは、楽譜に記された音楽と、実際の音楽を結びつける勉強の総称として使われる言葉で、音楽大学をはじめ、専門の音楽教育を行う機関では、ソルフェージュが必修です。
もちろん音楽大学の受験科目としても、必ず課せられるものです。
ソルフェージュでは主に、聴音(単旋律・四声体)、初見試奏(視唱)、コールユーブンゲン(歌唱)の試験が行われます。

聴音

聴音とはいわゆる耳コピのようなもので、数回流れる単旋律を聴きとり、その聴きとった旋律を五線譜に書きます。
学校によっては四声体(しせいたい)の試験もあります。四声体(しせいたい)とは、無伴奏の混声四部合唱(ソプラノ、アルト、テナー、バス)で書かれた8小節程度の課題がピアノで演奏され、それを聴いて大譜表に書きとります。大体4~5回ほど演奏され、その間に楽譜を完成させなければなりません。

ソルフェージュ能力は臨界期にあたる2歳~5歳が育ちやすいといわれており、幼いころからソルフェージュレッスンに通っている人の殆どは絶対音感が身についていることが多いです。

しかし、そんな幼いころから音大を志そうという意思は持たないでしょう。
音大受験のためのソルフェージュ教室はいくつも存在しますので、音大受験を考えているのであればできるだけ早く専門の講師にレッスンしてもらうのをお勧めします。

楽器はうまくても、ソルフェージュ能力がないと受験には落ちてしまいます。ソルフェージュ能力は勉強しても身につくことではなく、応用にも対応できるように、志望校や藝大の過去問で練習の数をこなす事、音程に慣れることが何よりも上達の近道です。

初見試奏(視唱)

初見試奏とは文字通り渡された楽譜をその場で演奏することを言います。
この試験では、初見能力をはじめ、テンポや強弱、リズムがどれだけ正確に演奏できるかが試されます。学校によっては楽器ではなく歌唱で行うところもあるそうです。

音大に入ると、1週間に何十曲も練習しなきゃいけない・・・ということもあります。
初見能力が早いと、外部の演奏の仕事も依頼されやすくなります。

どんな曲でも対応できるよう、とにかく楽譜を見つけたら初見視唱に挑戦し、音程やリズムを正確にとるところから始めましょう。
数をこなしていくと、だんだん初見試奏能力が身についてきます。

コールユーブンゲン(歌唱)

コールユーブンゲンとは、ミュンヘン音楽学校の全校生徒に対し、合唱の実習を通して、和声学などの音楽通論の理論面だけでない一種の実用的、根本的間学習を行い、全般的音楽教養を深める目的で行われる合唱練習の教本として作成された声楽の練習教本を指します。

試験内容としては、教本の中にある1曲を指定され最初の音もしくは主和音をもらい伴奏なしに階名で歌唱します。
1曲大体30秒ほどの曲ですが、音程やリズムが難しく無伴奏で歌うには、絶対音感を持っていたとしても相当練習しなければ習得できません。

1冊すべての曲を無伴奏で歌えるようになるまで必死に練習しましょう。
コールユーブンゲンは聴音と一緒で、ソルフェージュ教室にはだいたいカリキュラムとして組まれています。

副科試験

音大受験では、副科ピアノ試験は避けては通れない道です。

各音大によって副科ピアノの要求レベルは異なりますが、一般的には基礎的な演奏能力と音楽理解が求められます。
そのため基本的なスケールやアルペジオ、バッハのインヴェンションやソナチネ、ツェルニーなどの作品が課題曲となっています。

副科とはいえ、全く演奏できないと勿論落ちます。
副科ピアノ試験は各音大によって課題が違いますので、目指している音大の課題をよく見て、なるべく早めにレッスンを受けることをお勧めします。

主専攻楽器の実技試験で要求されるレベルとは

いくら吹奏楽でずっとトップだった、強豪校だった、昔から趣味でピアノを習っていた・・・と言っても「演奏ができる」だけでは受験には落ちてしまいます。
各音楽大学の基準のレベルに達していなければいけません。

音色、細かなテクニック、リズム、時代背景や作曲家に応じた奏法などを網羅してやっと受験に臨めます。
その為には、各専攻楽器のプロの講師にレッスンをしてもらう必要があります。
レッスンを受けることによって受験にふさわしい曲課題曲の解釈音大生が最低限持っていなければならない基礎力などを学ぶことができます。

主専攻の試験は副科試験よりも厳しめに見られますので、上達を目的にレッスンに通うよりも先に、音大試験に臨むための対策としてできるだけ早くレッスンを受けましょう。

プロの音を間近で聴けるわけですから、レッスンを受けているうちに必然的に耳が育ち、楽器の技術も向上していきます。

打楽器専攻は特に要注意

打楽器を専攻するといっても何十種類もの楽器があり、何を専攻してよいか分からないという悩みを耳にします。

打楽器専攻は基本的にマリンバ専攻太鼓専攻の二つに分けられることが多いです。
打楽器の中でも専攻したい楽器をあらかじめ決める必要があります。

マリンバを選んだ場合はマリンバの基礎、ソロ曲を試験にて演奏し、太鼓を選んだ場合は、スネアの基礎と、スネアやティンパニ、マルチパーカッションの独奏曲を演奏する必要があります。

音大の中には、マリンバと太鼓どちらも演奏しなければならないところもありますので、志望校の募集要項を念入りにチェックしておきましょう。

打楽器で受験する場合、どの講師に習うべきか

マリンバを専攻する場合はプロのマリンビストに、太鼓を専攻する場合はオーケストラで活躍する打楽器奏者に師事するのが一般的な考え方ですが、大学に入学した際、音大の期末試験では専攻に関係なくどちらの楽器も演奏する決まりがあります(1部の音大を除く)。
その為、マリンバと太鼓どちらもご指導頂ける講師に師事するのがベストです。
第一線で活躍しているプロの奏者の方々は、殆どが音大出身で、様々な試験を潜り抜けてきました。

マリンバで活躍しているプロもかつては太鼓の試験も受けた経験があると思いますので、ある程度はどちらの楽器でもしっかり指導してくださいますので、レッスンを受ける際は、専攻以外の楽器の基礎もご指導いかだけるか聞いてみましょう。

音大受験対策はいつまでに準備しておくのが最適か

ここまでの説明で、焦っている方もあると思います。
しかし、進路というものは「なんとなく」で決めるものではなく、行きたい!目指したい!と思ったらそこに向かって努力することが大切です。

どの試験科目も早めに対策しておくことに越したことはないですが、高校2年の終わりに「音大に行きたい」と決めたとしても一概には「遅い」とは言えません。
その理由は努力次第で上り詰めることができるからです。

一般的には高校1年の秋頃までに音大受験を決めておけば、安心して受験に臨めるくらい対策ができますが、こちらも人それぞれです。生まれ持った才能で絶対音感があり、聴音などの聴き取り問題は簡単に感じる人もいます。
中には半年で音大受験対策をし特待生として合格している方もいます。

焦る必要は決してありませんが、理想としては最低1年半~2年は準備に余裕を持つと良いかもしれません。

まとめ

結論、音大受験を決めてからそれらの勉強を始めるのに、早過ぎるということはありません。

音楽系科目は、楽器と並行して早くから勉強していれば理想的ですが、場合によっては高校2年くらいから始めても遅くはないでしょう。
しかし、受験対策をしている中で不安に駆られたり、準備が間に合いそうにない場合は、受験生の苦手な科目の学習を試験までサポートする「受験講習会」というものを実施している学校もあります。志望校のホームページをしっかりチェックし、受験講習会にはできるだけ参加をしておきましょう。

音大受験を決めるのが遅くなってしまったとしても、「音大で学びたい!」「将来はこんな奏者になりたい!」という強い心をもって励めば、必ずうまくいくはずです。

この記事が今、音大を志している、あるいは音楽の道に進もうか悩んでいる学生さんの背中を少しでも押してあげることができたのならば幸いです。どんな学校に進学しても、就職しても、胸張って「努力して励んだ」と言える将来でありますように・・・

スタジオSHINKI
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